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玉川大学教育学部教授大豆生田啓友先生

玉川大学教育学部教授
大豆生田啓友先生に聞きました

遊ばせ方、玩具選びのポイントを伝授!教えて、大豆生田先生!
「非認知能力」を育む遊び方【後編】

今の教育のトレンドは、ひと昔前の暗記型から思考型へとシフトし、「生きていく力」が必要とされてきています。そんななか、幼児教育でも注目されているのが、「非認知能力」。この能力について、乳幼児教育学の専門家である大豆生田啓友先生に前編・後編の2回に分けて分かりやすく教えてもらいました。前編では「非認知能力」とは何かを、後編では、より実践的な「非認知能力」を育てるうえでおすすめの遊びのコツを伝授します!

マイペースに遊べる「おうちの遊び場」を作ろう!

今、子どもたちの教育で注目されている「非認知能力」とは『目標の達成』『他社との協働』『情動の制御』のことで、心や社会性に関する能力です。

では、「非認知能力」を育むためにママ&パパは環境づくりや子どもへの接し方など、具体的にどんなことをすれば良いでしょうか。環境づくりや接し方などについて乳幼児教育学の専門家である大豆生田啓友先生に伺いました。

非認知能力を伸ばすには、その子が興味を持ったことに夢中になって遊ぶことが大事です。ママ&パパは、その子が好きなことに徹底して取り組める環境をつくりましょう。おすすめはお家に小さな遊びのコーナーをつくること。広いスペースでなくても良いので、工作グッズなどを入れたトレイを用意するのでも良いですね。子どもの意思でさまざまな経験ができるよう、いくつかの玩具を自分で選んで取り出せ、やりたいときに続きができるのが理想的です。子どもが自由にいろいろ試すなかで、やりぬく力も育まれます」

その時、ママ&パパが注意しなければならないのは、子どものペースに合わせること。

「お手伝いがなければ遊べない子、積極的に遊ぼうとしない子など、子どものタイプはさまざまです。周囲と比べず、その子の好きなことからゆっくりと遊ばせましょう」

家族以外の人たちからも刺激をもらおう!

本来、大人が遊んであげなくても、子どもは自分で遊びを見つけるもの。子どもの安全も気になりますよね。それは大事なことです。でも、過剰に安全にこだわり、親が先回りばかりしていると、子どもは自分から手を出さなくなり、みずから挑戦するような遊びの機会や、自分の身を守る力を育てる機会を失ってしまうかもしれませんね。

「今の社会では、子どもたちをおおらかに遊ばせるのはなかなか難しいと思います。でも、親があまり先回りすることはおすすめしません。子どもが坂を自分で登ったり、少し高いところに登ってジャンプしようとしたりすることがあります。親としてはドキドキですよね。でもそれは、その子の意欲や達成感、運動能力の育ちにもプラスになる経験です。安全に配慮しながらも、その子のチャレンジしようとする機会も可能な限り見守りたいですね」

また、子どもたちは周りにいる魅力的な人の行動や振る舞いを、自然と参考にして学習していきます。そのため、ひと昔前は、子どもたちは親が教えないことも親以外の家族や地域の大人たちからどんどん吸収していました。

「核家族化や都市化が進んだ現代は違う世代の人々や近隣との関わりが少ない傾向にありますが、親子だけで向き合うのは本当に大変なことなのです。親がすべて教えようとするのではなく、保育園や子育て支援センター、プレーパークなどを活用するのも一つの方法です。同年代の子どもと関わることは、他の子どもがしていることに刺激を受けて、やってみようと興味関心が広がり、意欲が高まるたいせつな機会になるのです」

創造力を引き出し、夢中になる玩具を与えよう!

子ども自身が好きなものを自分のペースで遊ぶことが大前提ですが、そんななかでもおすすめの玩具をいくつか伺いました。

遊びに夢中になれる場所になる、ダンボールハウスやキッズテントはおすすめです。場合によっては親から死角になっても良いので、自分の世界に浸れる場所を用意してあげましょう。また、ごっこ遊びができる人形やぬいぐるみもおすすめです。ファンタジーの世界に浸ることは、現実につらいことがあってもそれをうまく乗り越える力につながります。特に幼児期にはとても大事な経験なので、ぜひ用意してみてください」

可塑性のある玩具というのも、ひとつのポイントになります。可塑性とは、組み立てたり、作り替えたり、いろんな形に変化するものこと。

積み木やブロックなどが可塑性のある玩具です。シンプルなのに無限の可能性があり、試行錯誤が必要なため、子どもたちは夢中になり工夫や創造力を発揮します。パパが子どもとつながるいいツールになるのがボールです。年齢やその子に合う大きさのものを選んであげましょう。変幻自在に姿を変える水を使った遊びは、頭も心も成長させます。水遊びでは、見て、感じて、試せるよう、いろいろなグッズがあるのが大事です。量の感覚を学ぶ経験にもつながります」

子どもがどんな遊びが好きかを知るには、保育園や幼稚園の先生に「うちの子、どんな遊びが好きですか?」と聞くこと。子育て支援センターで、お家にはない玩具に触れる様子を見ることも参考になります。

「紹介した玩具での遊びは、あくまでも一例です。それで遊ばないからダメということはありません。一番大事なのは、子どもが夢中になれること。個々の個性を尊重して、子どもと大人が幸せな時間を共に過ごすことが非認知能力を育てるうえで大切です」

ぜひ子どもがどんな玩具に夢中になっているかに目を向け、親子で一緒に楽しんでみては?

玉川大学教育学部教授/大豆生田啓友先生

大豆生田啓友先生

玉川大学教育学部教授

専門は、乳幼児教育学・子育て支援。日本保育学会副会長、厚生労働省「保育の質の確保・向上に関する検討会」委員(座長代理)、こども環境学会理事。NHK Eテレ「すくすく子育て」をはじめ、テレビ出演や講演活動など幅広く活躍中。『マメ先生が伝える 幸せ子育てのコツ』(赤ちゃんとママ社)ほか、著書多数。奥様である、臨床心理士の大豆生田千夏先生との共著に『非認知能力を育てる あそびのレシピ』(講談社)もある。

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